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| 第三回 〔プロミュージシャンの憂鬱〕 |
| 「プロのミュージシャン。 カッコいいひびきだよね。 学生の頃思いうかべてたプロのミュージシャンっていうのは、オリジナル創って、レコード出して、テレビに出て、コンサートツアーまわって……。 もちろん、それもプロミュージシャンだけど、それだけじゃないわけ。 レコーディング専門のスタジオミュージシャン、タレントの伴奏するバックミュージシャン。 そんな中で衝撃的だったのが、ハコバンミュージシャン。 知らなかったよ。 そんな世界があるなんて。 約20年前、当時、東京はバブル景気というものに浮かれまくってて、飲んで、踊れるライブハウスが 沢山あったんです。 音楽のジャンルは、50〜60年代のアメリカンオールディーズ。 なんで、オールディーズだったんだろう? その辺が謎ですね。 別に、ディスコでも、ハードロックでも、良かったのに。 まあ、そんな、オールディーズバンドが毎日出演するライブハウスが大小ひしめき合ってたんですね。 ライブハウス(ハコ)の専属バンドをハコバンといってたわけです。 |
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で、ある日、大先輩のキーボディストからいわれるわけたのが。 「おまえ、ハコバンでもやって勉強してこい」 あ、そうですか。 いくつか、面接というか、オーディションみたいな感じで行くと。 大体、一日に6回ステージだとか、35分ステージだとか、4回目が終わって食事だとか、衣装のジャケットは支給だけどシャツは自前だとか、ボリュームは控えめにとか、説明されて最後くらいに、 「で、ぶっちゃけ、月にどのくらいギャラは欲しいの?」 って、いわれても、相場とか全然知らないしなぁ。 でも、6回もステージやるし、みんな100万位はもらってるんだろうな。 最初だからちょっと遠慮して、 「40〜50万位でいいです」 って言ったら、相手のバンドのリーダーの顔色がサーっと変わったよ。 「うちでは、そんなに出せないから他のバンド行った方がいいね」 そうなんだー。 だって、ハコバンなんてやった事ないもん。 結局、やることになったバンドの月の保証額は20万円でした。 それでも、高い方なんだって。 今、思い出すと恥ずかしいよ。 そのバンドっていうのは、新しく立ち上げるバンドで、またちょっと特種だったね。 ギターが二人、ベース、ドラム、女性ボーカル。 え? キーボードいないじゃん。 「メインボーカルの女の子は新人であまり戦力にはならないから、まわりでフォローしてやってくれ」 フォローって? 「バックの男もボーカルをとる」 こっちも新人だし、ボーカルなんてやったことないんですけど……。 2週間位で、70曲以上覚え、コーラス覚え、ボーカルもやり、キーボードいないからリーダーのギターの人とフレーズ振り分けて。 男はリーゼント、女はポニーテール。 ギターソロではテーブルに飛び乗って。 初ステージは緊張しましたね。 六本木の「最後の20セント」っていう店でした。 この世界で覚えた大量の曲が、その後、すごく勉強になり、いろいろなミュージシャンとも知り合え、今までの付き合いになるわけです。 この続きはまたいつか。 |
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